優しい指先が辿り着く答え 夏にしては涼しい風が吹き、私は思わず顔を風上に向けた。 木陰の中に、まだ幼い少女が何やら本を読んでいる。 でも、目元が誰かに似ているような。 あともう少しで思い出せそうなのに何も浮かんでこない。 遠い夏の日、同じように、本を読んでいた、 あれは。 「…ああ…」 やっと会えた。 ****** 死を呼ぶ男と教授のドン引き確実シリーズ、のネタ。 これだけで何ネタか分かったらすごいよ! No.468 - 2010/02/04(Thu) 12:47:51 ********* SALVA ME 奇妙な夢を見たんだ。途方も無く奇妙な夢。 どうしてあんなものを見たのか、ちっとも分からない。 分かることは、あれは僕の願いではなかったということ。 あれは…。 攫っていく、乱暴な風が、 貴方を。僕は思わず走り出して、声の限り叫んだ。 「レイトン先生!」 ヴァイオリンの旋律。滅茶苦茶な演奏だった。 頭が上手く働かない。一体どうしてこんなことに? 見上げた空には巨大な門が口を開けて待っている。 永遠に続く暗闇の中で、ぼんやりと、立っている。 掴み損ねた手の向こう、逆光で見えない顔の口から、 「SALVA ME」と彼にしてはとても弱弱しい声が聞こえた。 ああ、待って!僕の大事な人を連れて行かないで! 目が覚めたとき、なんとも言えない罪悪感があった。 夢の中で僕は先生を救えなかった。 所詮は夢だ。でもとても嫌な予感がして、 僕は朝一番に先生を訪ねることにした。 何かあってからでは遅いから。 ********* 「SALVA ME」=「SAVE ME」。 Lは本当は小文字にするボタンなんですが、あえてラ行に変えておきました。 文章の一部分が「SALVA ME」になっています。 No.473 - 2010/02/07(Sun) 07:37:04 ********* ただの、 落ちてゆく、体が落ちてゆく。暗い闇へ。 底の見えない、地獄とも天国とも分からない虚無へ。 目を閉じていても分かるんだよ。 体中を包む浮遊感と、開放感は、嫌でも分かる。 目の前にいるあの子に両手を伸ばした。 惜しい所でこの手は届かず、 そのままゆっくりとあの子から離れていく。 幼い少年の顔には驚愕、不安、恐れが浮かんでいた。 ああ、泣かないで、私の大事な愛しい子。 たとえ何処に行っても、どうなろうとも、 私は君を、我が子のように愛しているよ。 だから、心配しないで。追いかけないで。 君には、その世界がよく似合う。 「…ッ!」 がばり、と上半身を起こした。また、あの奇妙な夢。 大切なあの子を置き去りにしてどこかへと行ってしまう、 そういう夢。 随分前にあの子がそれと同じ内容の夢を見て、 私の所にきたことがある。 それが現実になってしまったのだから、皮肉なものだ。 夢は、正夢になり、私は私で無くなった。 あの子は今、どうしていることだろう。 無事にどこか別の場所で暮らしてくれているだろうか。 ふと、彼が泣いているような気がして、 私はベッドに横になって呟く。 「…泣かないで、私の大事な――」 ********* 「SALVA ME」の続き。これは立派な悪の先生パロですね。 ちなみにルークがロンドンに来る三年ほど前の話です。 No.482 - 2010/02/13(Sat) 04:43:51 ********* 鬱陶しいデスコール2 「(もぐもぐ)……」 「何を食べてるんだ?」 「ん?カレーだけど」 「朝からカレー…良く食べられるな…。私には無理だ」 「そうかな、結構美味しいから君でも大丈夫だと思うよ」 「ん」 「…?もしかして欲しいのかい?」 「ああ。だから、ん」 「……」 「……」 「ハア…はい、あーん」 「あーん」 「ほら、美味しいだろう」 「ああ、うまい」 カレーがあるか否かは置いといてください。 ちなみにこれ実話。 姉代理:デス氏 私代理:教授 そう、日常にネタが転がっているんだ…信じられるか。 No.484 - 2010/02/14(Sun) 02:28:33 ********* 白昼夢のメモ 「どうして何も言ってくれないんですか!  皆あなたを信じていたのに…!」 「違うよ、」 「ちがう?」 「言わなかったんじゃない、」 言えなかったんだよ。 『…あんな奴も涙を流すのかね?』 『あんな奴って…そんな言い方は…』 『でも酷いことばかりやってきたらしいぞ。  お前、まだ昔の姿ばかり見てるんじゃないだろうな』 『そんなことはないさ。きちんと今の姿を見てる。  でもそれには何か訳がある。…きっと』 『訳、ねえ…』 (…泣きたいなら泣けばいいのに、 どうして、我慢するんですか) ********* 寝る前の白昼夢。を、メモ。 これは…なんだろう…? No.495 - 2010/02/27(Sat) 02:46:19 *********