Luxury Look, yes, over the Under world. this hous has an eXcelent desins, fasional clothes, delicious foods. bUt, theRe was no fantasY in this house. ごらん、下の世界を。 この屋敷はとても素晴らしい装飾を持ち、 流行りの服もあるし、美味しいご馳走もある。 けれど、この屋敷には夢がないんだよ。 *** 昔、とある所に、それはそれは美しいお屋敷がありました。 館の女主人は、欲しい物は何でも手に入れることができます。 流行りの美しいドレス、王族を唸らせた珍味、 大きな大きなダイヤ…。 女主人の周りは彼女の好きなものでいっぱいでした。 女主人は、実は未亡人でした。 富豪の夫を亡くした後、 彼女はその巧みな手腕で家を守り抜き、 莫大な財産を更に積み上げたのです。 周囲の人間は彼女を尊敬し、羨みこそすれど、 うらむことはありません。 彼女はそれだけ努力を重ねた人でした。 女主人には、一人の息子がいました。 齢十二の子息は少女のように可愛らしく、 けれどとても利口です。 主人は息子をとても可愛がり、 彼の好きな赤のリボンでその髪を結んでやるのを 何より楽しみとしていました。 息子もまた、母がやさしく髪をなでてくれるのを とても好いていました。 青年は美しく成長しました。 母の面影を強く受け継いだ目元は鋭い美しさを放ち、 黒髪はまるで濡れたように艶やかな色。 その目は最も高価な琥珀を閉じ込めたよう。 世の女性はたちまち彼を好きになり、 彼もまた大勢の女性に愛を振りまきます。 母はそれを誇らしく思っていました。 けれど、幸せはいつまでも続きませんでした。 ある日、女主人は病に倒れます。 青年は必死に母の看病をしましたが、 やがて彼女は帰らぬ人となってしまいました。 悲しみに暮れる青年でしたが、 亡き父が遺したという剣を見て、ある決意をします。 館を使用人たちに任せ、青年は一人、旅立ちます。 「母上が言っていた、『夢』を連れて帰ってくる」 使用人たちは顔を見合わせました。 「夢がないこの屋敷は、空っぽだ。 俺は夢と共に必ず帰ってくる」 青年はそう言うと、美しい黒髪を風に靡かせ、 馬に飛び乗って去りました。 青年は、その後、無事に屋敷へ戻ってきました。 彼の血と、ある人物のを受け継ぐ子供を抱きかかえて。 そして、彼は一生正式な妻を娶りませんでした。 子供は黒髪に蒼い瞳を持っていたといいます。 No.544 - 2010/07/12(Mon) 22:38:29 ********* 再開、再会 さようなら、と、 言ってしまえば良かった。 悲しくて仕方ないのなら、 いっそのこと 最後の挨拶もせずに 一度だけ君の笑顔を見て、 噛み締めた思いも 胃の中へすとんと落としてしまえば良かったのだ。 物言わぬ静かな眼差しが自分の姿を映し、 それから、 それから、 その潤んだ目の中にあった影が揺らいだのだった。 あの時の自分ほど、愚かな奴はいなかっただろう。 No.545 - 2010/07/24(Sat) 02:21:46 ********* 死と共に座る席 何故泣いているの? 「悲しいから」 なぜ? 「人の命一つ失っても、この世界は変わらないので」 「…大切な人を失ったのです。 とても愛しい存在だったのに、最後はあまりにもあっけなく。 私はその死をしばらく理解できずにいましたが、 先ほどようやくそれを理解しました」 「涙が、止まりませんでした。 たとえ手で拭っても、あとからあとから湧いてくるのです」 「私はあの人を本当に心の底から愛して… いえ、愛なんて簡単な言葉では表せない感情を、 抱いていました。 もう一度あの笑顔が見られるなら 何を犠牲にしてもいい程に」 「どうやっても、ありのままのあの人を思い出せないのです。 思考が働かず、喉が渇き、また目が潤みます。 私はもう長く生きられないでしょう」 「あまりにも、空しく、悲しいので」 男はそう言うと、その場に持っていた物全てを置いた。 そしてゆっくりと辺りを見渡し、ぽつりと呟く。 「だから、 大好きだったこの景色を最後に見ようと思ったんです」 男が最後に見たものと同じ景色は、 青い空、濃紺の海、白いカモメ、そして灯台。 それだけしかなかった。 「 」 水しぶきが一つ。 静寂が戻った。 No.546 - 2010/07/24(Sat) 18:27:22 ********* 死か生か Darkness comes, thorugh the night. Ears are clear, but sight is not. Are you there? Am I here? Did anyone see the dark? Ofcorse not, my dear. Rest forever, with your eyes closed. At Last, you'll go to the farther's place. I had done what I had to. Victory? No, only my faith. Everyone will no the death till morning. *** (意訳) 闇が来る、夜の最中に。 耳は明瞭で、けれど視界はそうではなく。 あなたはそこ?私はここ? 誰か暗闇を見なかった? 当然、誰も見てませんよ、私のあなた。 永遠に安らかに、その目を閉じていなさい。 そして、 あなたは神の御許へと旅立つのです。 私は私のすべき事をしただけ。 勝利?いいえ、ただ私の信念に従って。 やがて朝が来るまでには誰もがこの死を知るだろう。 BGM Coded Soul "Tytle BGM" >No.549 - 2010/08/07(Sat) 20:59:39 ********* 「だいすき」 暗い部屋に、窓が一つ。 窓から見える景色は、曇天と烏、そして墓石。 明るい部屋にも、窓が一つ。 窓から見える景色は、鮮やかな新緑と木漏れ日。 墓石の見える窓の右半分を覆い隠すように、青年がいる。 新緑の見える窓の左半分を覆い隠すように、 白い装束に身を包んだ人影がいた。 青年は腕組をして、宙を眺めており、 人影は赤ん坊を抱いて、穏やかに微笑んで外を見ていた。 やがて、青年は目を閉じて、窓に寄りかかった。 人影は幼子を大切に抱えて、時々笑いかけていた。 「mamma, i love you」 幼子はつたない子供の声で人影に言った。 人影はその手で優しく幼子の額を撫ぜ、 幼子も小さな手を懸命に伸ばして人影の頬に触れた。 青年が、そっと目を開いた。 そして、人影の足元が黒ずんだ。 「だいすき、」 赤子がつたない言葉で人影に擦り寄る度、人影は益々黒くなっていく。 青年はじわじわと顔色を失っていき、次第に目には恐怖が浮かび始めた。 人影はまだ笑っている。まだ、赤子を愛しそうに抱いている。 「まま、だいすき」 「まま、」 やがて人影の顔の輪郭を黒が覆う頃、 青年は打ちひしがれて窓に寄りかかっていた。 歯はかたかたと震えて、唇は紫色になり、 顔は真っ白で、体は冷え切って。 「だいすき、だいすき」 青年はやがて、 自身の命にさえ関心を失ったように目を閉じて動かなくなった。 人影は真っ黒に染まってもなお、赤子を愛していた。 やがて、一人がそこへやってきて、 まず、暗い部屋を訪れた。 青年の冷え切った体をそっと床に横たえて、 持っていた白百合をその手に持たせた。 その次に、明るい部屋を訪れ、 今や完全に影となったその人の手をとった。 腕に抱いたはずの赤子はいなくなっていたことに、 影は気づかなかった。 目が見えないのか、不思議そうに目前に立つ人を見上げる。 「愛が欲しい?」 影は何も言わず、小さく首を振った。 愛ならあの子に全て捧げてしまった、だからいらない。 自分の愛はあの子。あの子が愛の全て。 質問した人物は少し間を置いてうなずくと、部屋を後にした。 それから暗い部屋に戻ってきて、横たわったままの青年へと近づいた。 死んでいるかのように見えたけれど、もう一度その人は訊ねた。 愛が欲しい? 青年は目を閉じたまま、小さく小さく頷いた。 それなら起き上がり、一緒に来てくれないか。 暗い部屋に二人の人影があって、その二人とも立っていた。 一人がもう一人の手をしっかり握り締める。 「愛しています」 赤子の代わりに、大人の声がそう言うと、 青年が、やはり目を閉じたまま、涙を流した。 No.558 - 2010/09/23(Thu) 18:38:20 *********