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おかしい。瞼が持ち上がらない。
身体も重くて、ぐったりと床にへばりついている。
この所、忙しくてろくに睡眠もとれていなかったような。
春先の暖かい日差しが、肩に、背中に、頭に当たってとても心地よい。
私は耐え切れず、くわり、と欠伸を噛み殺し、目を閉じて丸くなった。
***
「先生?」
返答がないので心配して、こっそり寝室を覗き込むと、ごろりと寝転がったままの先生を見つけた。
しかも、ベッドじゃなくて絨毯の上で寝ている。いつも凛とした背中はゆったりとした曲線を描いていて、なんだか猫みたいだ。
「先生、こんなところで寝たら風邪ひきますよぉ、」
そう耳元に囁くと、先生は小さく呻いて、でも起きなかった。うう、どうしよう、参ったなあ。
先生の部屋はたっぷりと日差しを浴びてとても暖かい。よく日溜りの中で嗅ぐ香りがふわりと先生の周りを包んでいる。
そんな優しい空間に居続けたものだから、僕もなんだか眠くなってきた。
「…寝ちゃおうかなあ…」
でもこのままだと、日暮れになったら寒くなってしまう。 春になったとはいえ、夕暮れの寒さはまだまだ厳しい。
暫く先生の隣に座って考え込んで、いい事を思いついた。 先生を起こさないようにベッドから毛布を引っ張ってくる。
勝手に毛布を使うのも気が引けて、先生に一応声をかけた。
「せんせーい、毛布一枚借りますよー」
「……」
何かを寝言で呟き、先生はさっきよりも丸くなった。あれ、本当に猫みたいでかわいい。
僕はちょっぴり笑って、先生の隣で横になり、毛布を僕たち二人にかける。
絨毯の上に横たわって隣を見ると、先生の髪が日差しを受けて金色に見えた。
たまにはこういうのもいいな。
「おやすみなさい、レイトン先生」
いつも先生が僕にしてくれるように、帽子を被っていないその額におやすみのおまじないをする。
我慢していた眠気が一気に迫ってきて、僕は大きな欠伸を一つして目を閉じた。
「…おやすみ、ルーク」
…あ、先生、起きてたんですか。
目を開けたかったけれど、その時僕はもう既に夢の世界へ旅立っていた。
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眠いんだ、
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