パタパタと羽根を羽ばたかせ、前方を進む。
そういや、この格好に慣れてから大分経った。
だが茹だるような暑さで熱中症になるのは勘弁なので、 耐えず風を体に送らなければいけない。

夏といえば思い出すこの習慣が嫌になる。

「暑い…暑くない?」
「少しはな。第一、お前とは感じ方が違う」
「へえ」

固定された扇風機の目の前にTシャツを広げ、 あられもない姿で居たヴァンが憎たらしい。

羽毛は人肌よりも暑いのは分かるだろうが!
式神とはいえ、魔法を使える以外は 寒さ・暑さに弱いのは人間と同じだ。

「なんかさー…」
「あ?」


「バルフレアってさ、見た目が暑苦しすぎ」

…今、今何かがブチッと来たぞ。
大人が持つプライドとやらでそれを抑えてるがな!

初夏の日差しに羽毛が物凄く暑くなってしまう。
人間姿だとそりゃもう汗だくで、 お気に入りのシャツは凄い事になっている所だ。

「…人間になってやろうか」
「いや、やっぱいいや」
「…………」

ヴァンはというと、 冷涼な風を求めて冷蔵庫へと直行している。

節約一家なのだろうが、 この温度でクーラーをつけないのは馬鹿だ。

「あーもうダメ!クーラーつけようぜ、いいよなー」
「つけてくれ、っつーかつけろ!」
「最初からそう言えば良いのに。意地っ張りめ」

意地っ張りはお前だろうがボケ。
思わず口調荒めに反論したくなった。
しかし面倒臭がりの俺が挑発に乗るのはみっともない。
ので、無言で冷蔵庫の冷凍室からアイスを抜き取った。


BIRDS with a FEATHER, frock TOGETHER

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