滑らかなシーツの感触にふと目が覚めた。
気だるさの中でゆっくりと目を開けると、少し開いた窓から月明かりがぼんやりと差し込んでいる。 素肌に絡んでくる布の感覚が心地良い。

「ん、…」

す、と少し体を動かしてその感覚を味わいながら、シーツの上に散らばる髪にそっと触れてみた。 男にしては聊か長いとは思ったこともある。
けれどこの髪型に愛着があったので、そのままにしておいた。
普段は必ずリボンで結っているそれは、今夜だけは解かれていた。

「…レオナルド?」

リボンを解いた張本人の姿が見当たらないことに気づき、身を起こす。
体勢を変えた勢いで、申し訳程度にかけられていた毛布がずれ落ちた。
レオナルドはベッドから少し離れた場所にある椅子にすわり、何かを熱心に書いていた。

「あ、起きちゃいましたか」
「気にするな。…何を書いてたんだ?」

エツィオが自分を見つけたのに気づき、悪戯がばれたかのように彼は肩をすくめて笑った。
書いていた手を止めて何かを椅子の上に置くと、ベッドの端へと座り込む。
十年以来の付き合いだ、彼が一体何を書いていたのかなんとなく予想がついた。

「寝顔が…その、綺麗だったので、おもわず。すみません」

予想通りの答えを返した親友に、思わずため息をついた。

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