・アサシン一族には羽が生えてる設定。
・アルタイルの時代では空を飛べるほど大きな羽。
・エツィオの時代では退化して少し浮遊する程度の小さな羽根。
・そしてデズモンドの時代ではもはや肩甲骨が少し大きい程度にまで退化している。

↓それでもOKならどうぞ!↓


その日、エツィオは肩から背中にかけて傷を負った状態で工房を訪れた。
少し血が滲んでいるが、大した怪我ではない。
とはいえ、放置するには聊か大きすぎる怪我だとレオナルドは思い、清潔な布を手に取った。

「応急処置をしますので、ちょっと脱いでください」
「え!いや、それは…」

レオナルドと自分以外いないとはいえ、人前で脱ぐのに抵抗があるのか、エツィオは首を振った。
数々の女性を口説いてきた割には奇妙な態度だ。
気まずそうに視線を泳がせるエツィオにレオナルドは眉をくい、とあげた。

「私に見られてまずいことでもあるんですか?」
「……う」
「大丈夫ですよ、こう見えて私は口が堅いですから。さあ!」

親友に引き下がる気がないと悟ると、エツィオはゆっくりと服を脱ぎ始めた。
がっしりとした装備を外し、装束を脱ぎ、上半身がシャツ一枚になったところで、手が止まった。
小さく溜息をついた彼は、レオナルドに向き直って一言、「他言無用だからな」と念を押した。

「信じられないだろうと思うが、俺の一族には羽が生えてるんだ」
「…羽ですって?」
「羽とは言っても、退化してしまって空は飛べないけどな」

目を白黒させるレオナルドに苦笑しつつ、エツィオはシャツを脱いだ。
それまで隠されていた小さな傷があちこちにある、鍛えられた体が露になる。
だが何より目を引くのは、その背中にある「羽」だ。
肩甲骨から彼の髪と同じ色の黒い羽が生えていた。

「これは…凄い。本当に羽が生えている…」

そっと肩甲骨の周囲に触れながらレオナルドは感嘆した。
作り物ではないそれは、鳥の羽のような、そうでないような触り心地だった。

「先祖の頃はもっと大きい翼だったそうだ。時代が経つと共に少しずつ退化して、今はこの有様さ」

くすぐったそうにしながらエツィオはレオナルドにそう話す。
羽にも神経が通っているらしく、時々擽りによる笑いをこらえるように肩が震えた。
同時に傷が少し開き、血が一滴背中に垂れたのを見て、レオナルドははっとした。
手にしていた布で血を拭うと、手当てをする為に小道具を出す。

「この羽は全く興味深いのですが、まずは手当てですね」
「手当てが終わったら好きなだけ見ていいよ」
「ではお言葉に甘えて」

羽に口付けたレオナルドがそう言うと、エツィオが小さく笑った。

御使いの一族

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