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初めて彼に会った時、何より印象的だったのは目だ。
彼が母親に紹介されてこちらを向いた時、一瞬息が止まった。
黒い髪からちらりと見える、琥珀のような色をした目は本当に美しかった。
それ以来、強い眼光を宿してこちらを向く時、気難しい顔をして彼が黙り込む時であっても、
彼がいつも自分に向ける、優しさのような、慈悲のような眼差しを強く思い出す。
だからこそ、普段彼がフードを被っていて良かったと思った。
無防備に曝け出された少し艶のある目元を見る度、そう感じる。
その目は、今は閉じられて見ることができないけれど。
(あなたになら、私は殺されてもいい)
たとえそれが彼が自分を処刑する事であっても、あの目が優しくこちらを見下ろしてくれる。
そして、悲しみと慈悲に満ちた、穏やかな眼差しがきっと自分を許すのだから。
(ああ、でも、あなたはきっと、私の死に酷く苦しむのでしょうね)
不謹慎な考えを抱きながら、そっと眠りにつく彼の手に口付ける。
危険な使命を背負って生きる彼の最後がせめて安らかであるように、そっと祈った。
(死なないで下さい、私の、死の天使)
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終焉は琥珀色を映すだろう
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